企業秘密の危機管理対策

企業の危機管理5つのポイント

イラスト:P・O・Bが掲げる危機管理5要素

  • 予防
  • 早期発見
  • 迅速な問題処理
  • 再発防止

1.被害の未然防止⇒「まさか!」と思ったときの対策次第で被害状況が決定してしまいます。

どんな事件にも何らかの前兆事案があるものです。それを看過することなく適切な対応をとることで被害の未然防止を図ることが可能です。

2.被害の拡大防止⇒「まあ、大丈夫だろう」この不用意な企業体質が、かすかな煙を甚大な被害に発展させてしまうのです。

「原因は?現状は?」将来のために、いま何をなすべきかを迅速、的確に判断し被害を最小限に抑えることが重要です。

 報告、連絡、相談を怠らない

3.企業の損失防止⇒「マイナスを防ぐ」そのことが利益を上げる要因となります。

せっかくの利益も思わぬ危機に遭遇し多大な被害を被ったり、損害賠償を支払う羽目に。このマイナスをいかに防ぐかが企業の危機管理となります。

4.企業の信用保持⇒「企業としてあるべき姿を崩さない」この姿勢が大きな信用を得ることになります。

不当な要求に対し、「これぐらいなら」と軽い気持ちで金銭や商品を与えたり、「申し訳ございません。よく検討します。」などと相手にエサを与えるようなことをいう。「その場逃れの解決」は後に社会的信用を失う大きな失敗になります。

5.企業のトップを守る⇒危機管理の徹底は組織のトップを守ることになります。

組織防衛といっても最終的には「トップの責任」を問われ矢面に立たされることに。危機管理の徹底はトップを守ることになります。


当社の産業スパイ対策

ピラミッド図:●法律に基づいた「営業秘密管理の助言」 ●営業秘密資料を守る防犯カメラ等の「セキュリティーシステム」 ●営業秘密持ち出し手口や容疑者および、その関連人物の「調査・分析・証拠収集」 ●容疑人物や関係者への「面談・交渉・警告」 ●経営陣やその関係者の身の安全およびその情報を外部に漏らさない為の「身辺警護・警戒」

人事管理と産業スパイ

人事管理の重要性とリスク回避策

トラブルの前兆を見逃さない為、人事管理者は、特に自社の営業秘密に係わる従業者の、職場での状況は勿論、プライベートでも不安を抱えていないかを把握する必要があります。 また、中途退職者それぞれの性格や価値観からどのようなリスクが起きうるのかを予測することも重要でしょう。 では何を把握し、そこから何を予測すれば良いのか考えてみてください。

把握必要事項

金銭的に困窮していないか
誘惑面に弱くないか
誰かに弱みを握られていないか
会社に不満を持っていないか
自分の落ち度を棚上げするタイプでないか
普段から仕事に集中出来ていないのではないか

予測事項

今より多くの利益を得るために営業秘密を持ち出す
脅迫されその怖さから営業秘密を持ち出す
会社への不満からライバル他社へ営業秘密を持ち出す
匿名にて会社の信用を貶める風評被害を出す

当社では危機管理のアウトソーシングとして、通常の探偵や警備会社では成し得ない、総合的な対策で犯人に迫りクライアントを守ります。


産業スパイ防止策

産業スパイとは

産業スパイとは、企業の重大な技術や情報を盗み、使用または他社に開示するなどして、不正に利益を得る者の事を言います。
産業スパイ行為は「営業秘密侵害罪」という罪に問われ、罰則が科せられます。

図:産業スパイとは

御社の企業秘密は営業秘密と言えますか!?

写真:PCと携帯のイメージ

<営業秘密3大要件>

  1. 秘密管理性
    客観的に見て秘密として管理されていると認識できるもの

  2. 有用性
    営業上または技術上、有用な情報であること

  3. 非行知性
    公然と知られていないこと

産業スパイ被害に遭わない為には、自社の企業秘密が営業秘密として扱われているかどうかが重要です。この3大要件をクリアしていなければ、法的に営業秘密として評価されず、犯行を行った人間(組織)は「営業秘密侵害罪」には問われません。被害に遭っても、民事・刑事どちらの訴訟を提起しても勝てないのです。

何が企業秘密なのか
それは守られているのか
誰がどのように管理しているのか
法的に営業秘密と評価されるものか

上記4項目を正しく認識し管理することが、これからの企業防衛の課題となります。

不正競争防止法

写真:PCのイメージ

不正競争防止法は、各企業の営業秘密を守り、市場の競争が公正に行われるよう定められた法令です。競争相手を貶める風評の流布、商品形態の真似や、競争相手の技術・情報を盗み取る(産業スパイ)、虚偽表示する等の行為を規制するもので、個人・法人両方を罪に問う両罰規定も適用されます。

主な産業スパイ類型

  • 詐欺等行為
    人を欺き懐柔する事・人に暴行を加える事・脅迫する事により営業秘密を領得(口頭で聞き出す行為も含まれる)

  • 管理侵害行為
    財物の窃取・施設への侵入・不正アクセス・その他の保有者の管理を害する行為


産業スパイ被害事例

CASE1 借金の形に顧客情報漏洩

写真:頭を抱えている男性のイメージ

証券会社のシステム部部長代理が、同社の顧客情報149万人分、企業情報122万件分をCD-ROMにコピーし、それを名簿業者に35万円で販売して最終的に4社に転売されていた事件。
システム部部長代理という、本来ならデータベースを管理しなければならない立場の者が地位を利用し、そのアクセス権を悪用して派遣社員に命令しデータを抜き取らせ、情報漏洩を行っていた。
会社側の損害は70億円以上であった模様。
この事件の動機は「システム部部長代理としてのストレスが溜まり、そのストレスを解消するためにキャバクラに通い詰めてしまい、その結果、借金が500万円を超えていた」という身勝手なものであった。
結局、この件では、システム部部長代理は懲役2年の実刑判決を受けた。

CASE2 営業秘密を海外企業へ流出

写真:PCと男性のイメージ

国内大手製鉄会社のSは同社の複数の元社員から、電気を家庭に送る変圧器等に使われる「方向性電磁鋼板」の技術情報を、韓国大手鉄鋼企業Pが不正入手したとして、不正競争防止法に基づき、986億円の損害賠償や製造販売差し止めを求める訴訟を起こした。
米ニュージャージー州連邦地裁にも同様の訴えを提起すると共に、技術漏洩に関わった元社員10名も訴訟され責任を追及される事となった。
Sは製造技術を持ち出したとされる元部長級社員の自宅から、Pとの通信履歴等の証拠を裁判所を通じて確保し裁判を優位に進め、その後P及び元社員男性らが共に和解金を支払い、Sは訴訟を取り下げた。

CASE3 退職者による企業秘密データ持ち出し

写真:PCのイメージ

Aは電機機械製造会社Bの従業員であるが、同社の機械製造マニュアルを会社のパソコンからA自宅のパソコンヘメールで送信し、B社を退職後に当該マニュアルを使って同業会社を営むことに活用した。
Aが同業会社を営んだことから、不審に思ったB社はAの使用していたパソコンからマニュアルが送信されていたことを発見し、不正競争防止法の不正取得罪であるとして告訴。
しかし裁判では、当該マニュアルが営業秘密の秘密管理性が不十分(従業者であれば誰でも閲覧可能であった)だった事から不起訴となり、民事訴訟へと移行した。

CASE4 反社を黒幕とした銀行員営業秘密侵害

写真:頭を抱えている男性のイメージ

銀行の行員が借金を理由に闇金業を営んでいる共犯者から「銀行の内部情報を教えないと会社や元妻の所に取り立てにいく」と脅され、銀行2支店への建造物侵入および窃盗、そして高額預金者の情報漏えいを行った。

この行員は、平成28年8月、共犯者に現金保管庫の扱い方の動画を渡したり、現金3000万円の事前準備の要請をした上、金庫破りの目的で支店への建造物侵入ほう助を行った。(窃盗に関しては未遂)また、同年10月には、同僚宅から支店の鍵および警備カードを盗んだ上、職員専用出入口を解錠し別の支店に侵入して現金5430万円を盗んだ。

さらに、高額預金者169人のデータが平成28年7月にこの行員により持ち出され、共犯者に渡ったことが逮捕後の平成29年5月、共犯者の弁護士がリストを提出したことにより発覚した。流出に伴う情報の悪用や窃盗の被害は確認されていないというが、共犯者が犯罪に利用する目的で持ち出させたと思われる。

一連の窃盗事件では合計11人が逮捕されており、元行員は懲役6年の刑が確定している。また、事件後の内部調査により、元行員は顧客から定期預金や投資信託として預かった現金合計1300万円を流用した業務上横領でも再逮捕されている。銀行は10年ほど前から元行員の借入額が増えているのを本人の申告で把握し注意を促していたというが、この窃盗や横領、他の不祥事に関して頭取の5%の減俸と23人に処分を課し、謝罪会見を行った。

暴力団の新たな手口

資金獲得の困難化と同時に組員の減少等、反社会的勢力(暴力団)を取り巻く包囲網は年々狭まっています。
そんな中、新たな資金源として特殊詐欺等に参入するなど、情勢に応じて資金獲得活動・方法を変化させています。
企業の技術や情報を狙った巧妙かつ悪質な重大事件の多発化、営業秘密を侵害して不正に利益を得ようとする事が増加すると考えられ、当社はその点について最も着目しています。

暴力団による営業秘密の獲得手段

写真:男性のイメージ

脅迫

企業幹部のスキャンダルをネタに脅迫し、営業秘密を要求。

写真:男性のイメージ

つけ込む

従業員のミスにつけ込み、営業秘密を要求。

写真:お金のイメージ

買収

営業秘密にアクセス可能な人物を買収や甘言によって唆す。

写真:握手のイメージ

親睦

対象企業の人物と親睦を図り、油断させ口頭等で聞き出す。

大切なのは徹底した未然防止策

写真:弁護士のイメージ

営業秘密を我が物とする為、反社会的勢力(暴力団)は時には会社乗っ取りまで目論む事もあります。産業スパイ事案は、取り返しのつかない被害の大きさや信用失墜に繋がります。

大切なのは経営陣から現場に至るまでの徹底した未然防止策です。長い年月を懸けて苦労し、せっかく築いた技術や情報を横取りされるような事があってはなりません。

当社は、この種事案に経験豊富な弁護士とタイアップし「反社会的勢力と不正競争防止法」に関する認識を高め、クライアントを守る事に全力で取り組みます。